[歌で地上を]

<About Music>
Peter Gabrielの作品に対するオマージュのようなサウンド、全編を通して流れる16分音符のシークエンス、などある意味では僕自身が作り続けてきた手法に則って作った作品。原曲となったのは南青山マンダラで行ったライブのために作った一連の曲のひとつ。音楽的に特に変更を加えた点はなく、John Giblinのベース、David Rohdesのギターが加わったことで完全にブリティッシュなサウンドになった。コーラス部分の国籍不明の歌詞は原曲から受け継がれたもの。ドラムスは今はなき佐賀町エキジビットスペースの石造りの空間に機材を持ち込んで録音したものでTchadもそのリバーブの美しさに感心していた。特に印象的だったのは間奏と後奏に出てくるギターフレーズで、Davidは最近元Led ZepperinのヴォーカリストRobert Plantと仕事をしたばかりで激しく影響を受けており、彼にしては珍しい「メロディアスなリフ」を生み出してくれた。耳に不思議な残り方をするフレーズで作者にとってすらも「とても後から追加されたとは思えない」ものである。

<About Words>
ベーシックになったのは戦時中にも自由主義者としてのスタンスを崩さず日本人としては珍しいほどグローバルな視点を持っていたジャーナリスト、清沢洌をテーマにしたライブのために創った曲で「アズミノノユメ」というタイトルの詩がついていた。日本の中だけでものを見ていてはいけないと説く清沢洌の言葉をかっての教え子達が受け継いでゆく、という意味のものだったのだが、単独ではあまりにも意味不明なので改めて詩を書き直した。音楽に対する感謝、というテーマの一面を表現しているものになったと思うがそれと共にはやり「望み」をなくさない、という意志をも表現したかったのだ。テレビで見てインパクトを受けたイスラエルの建設したパレスチナとの分離壁。その異様なまでの存在感とネガティブな美がこの詩の原風景となっている。機能を追求したとき生まれる「美」は時に人の情感を拒絶する。その拒絶を受けたときに生まれる強い思いもある、と言うことだろう。

井上 鑑

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