#04. 孤絶しているように見える?
違うんです
Head Phone Oasis 見聞奏記
札幌に拠点を持つアーティスト、風間ヤスヒロさんとは「日経・大人のバンド大賞」という兼業音楽家(ほぼプロの方も多かったが)の大きなEventで接点が生まれ、その後も折に触れてコンタクトがあった。
風間さんは<Headphone Live>をご自身のスタジオで定期的に開く、というパイオニア的存在で、札幌市内のスマートなスタジオを上手に使って、聴衆が録音スタジオレベルの環境の中で音楽を楽しむ、という素敵なコンセプトを実現させている。
僕は、ウクライナ出身の歌手・バンドゥーラ奏者、ナターシャ・グジーさんとDuoで出演させていただく機会を得たのだが、その経験がひとつの方向性を垣間見させてくれたのである。
歴史に残る70年代の大滝詠一<Headphone Concert>は、いわばRadio的発想でFM送信機と受信機を使うコンセプトだったが、風間システムは無線ではなく、より音質重視の有線で生演奏の空気感を共有する方向性。実際に体験してみると、アーティスト同士が呼吸を合わせたり、何かのきっかけで思わぬ展開や深化が生まれる物語を聴き手と共に辿っていることが確かな実感となるのに驚いたものだ。
ナターシャが弾くバンドゥーラは、実に繊細な音色のウクライナの民族楽器で、弱音楽器故、共演する楽器によっては音量差を克服しなくてはならない。という事は、時に電気的増幅が必要で、そのこと自体は間違いではないけれども、増幅しなくて済むために繊細なタッチの魅力を享受出来る<Headphone Live>はその魅力を聴衆全員に同じように届けられる、画期的な時空間なのだ。
つまり、録音スタジオでの状態と同じように、弱音楽器と電子楽器のバランスを音楽的に無理なく調整出来るので、ナターシャも自分の音をナチュラルに聞く事が出来、同時に僕が演奏するシンセサイザーも音楽的なバランスで聞く事が出来る(聴くひとも)のだから、とても純粋な表現が届けられるアドヴァンテージに満ちているのだ。
見聞記VOL5に続く>>>

