
#13. 落葉の物語
とある仕事で「日本のStandard Song」を多数取り上げました。
基準も曖昧、選曲も難しいなか、一連のグループサウンズ作品は惹かれる曲の多いエリアでした。僕でさえメモリーしている曲も多々あり、当時のテレビ文化と音楽の蜜月は濃厚だった訳ですね。
美空ひばりの時代とも言える50年代から上を向いて歩いた60年代初頭、67年頃からGSとフォークの作品が出て来て、日本の音楽は劇的に変容したことは疑いありません。当たり前過ぎる、とお叱りが来そうですが、僕などは時間軸で俯瞰してみることは少ないのです。
タイガースの曲にはメロディックなセンスと時代のリズムが生きた名作が多いですが、見直してみるとほぼ「すぎやまこういちのアバター」の如き状況でした。これも、当たり前なのですが改めて驚いてしまいました。ヒット曲ラッシュのほんの数年前までフジテレビのディレクターだったというのですから、究極の職業"音楽家"というべきポジショニング、しかもクラシックにも造詣があった…と書いていると誰かを思い出しませんか?
そうです、BBC育ちのGeorge Martinそっくりの立ち位置なのです。
音楽製作の中で果たした役割もかなりシミラリティ強いものだった、という好例が「落葉の物語」です。
そもそも冒頭部分は賛美歌・クリスマスキャロルの「荒れ野の果てに」そのまま、という潔さ、「All You Need Is Love」の「ラ・マルセイエーズ」に負けない大胆さでもあります。ロックバンドを自負していたタイガースのメンバーはこの曲のコーラスワークを録音時どのように捉えたのでしょうか…この曲が歌詞先行なのか音楽先行なのか?という疑問と共に興味津々なトピックです。
後のQueenのアンサンブルにも通じる編曲には心意気を感じます。そしてブリッジ部分は様々な意味でスゴいと言う他ないでしょう。賛美歌からいきなりマージービートへジャンプ、7th Chordの世界へ転換するセンスが秀逸です。
ぼくは最初、これはS&Gの「Mrs. Robinson」から来ているなと思ったのですが、どうやらこの曲の方が先行しているようで、「Day Tripper」辺りだと時間軸が符合します。
なんだか大瀧さんから天啓が降ってくるような気がしてきました。
違うよ、アキラ「**」だよ!と得意げに断定する表情が見えてくるようです。
ちなみにガロ「学生街の喫茶店」の間奏も場面転換の激しさ、流行歌の間奏としては驚きの長さ。
すぎやまこういちさん、心はロッカーでした。

