
#16. Too Far Away
最近、"周年ものプロジェクト" に関わることが増え、連続参加した「松本隆風街Live」では演奏者取りまとめ役を任ぜられましたが、出演者も多くしかも強者揃い。音楽も多岐なジャンルで面白く、ためになる。とは言え作業量膨大でした。
時代を映す鏡としての音楽を見つめ直すことは、結局自分の足跡を振り返ることになり、様々な思いが去来するものです。
その延長線上で、今度は山本達彦さんの周年Liveに参加することになり…—
1983年にアルバム全部をarrangeした「Martini Hour」とお久しぶりのご対面をしたのです。
サウンド的には当時のトレンドである「洗練された洋楽(的)ポップロック」
今聴くとdrumの音量が大きくて歌よりもスネアの方が目立つくらいで、そんな時代だったんだなぁ、と述懐するばかり。
一日に3つのスタジオセッションをこなしていた時代!午前中にCM録音、午後に歌謡曲2曲、夜帯にアーティスト・アルバムの録音…。内省とか洞察とかいう言葉の似合わない若年ミュージシャン、アーティスト達は録音が終わると深夜の街で交流!?をしていました。
達彦さんとそんな話になり、神宮前の「カル・デ・サック」とか青山「キューズ・バー」とか歴史上の名店の名前が出て来て微笑みました。鈴木家の慶一さんもうろうろしていた人たちのひとり…です。
さて、このアルバムの収録曲「Too Far Away」は当時珍しい作曲ユニットだったNOBODYの作品。元々矢沢永吉バンドにいた彼らの音楽性はマージービート系で、当時僕も達彦さんもハマっていたSteely Danの影はほぼ皆無でした。
達彦プロジェクト以外にも彼らの曲を結構沢山編曲しましたが、どんな打ち合わせをしたか、とかは記憶にありません。当時はレコード会社のプロデューサーが裁量権を持っている仕事が多かったので、スタッフの方が印象強かったりするのです。
そんな訳で彼らが作曲した時の意識とは若干距離があるかもしれませんが、今聴き直してみても自分が好きなサウンドとシーンの展開、そして山木秀夫、今剛らの演奏も素敵でした。
ですが、一番耳に残るのが竜真知子さんによる歌詞の冒頭「Wednesday Morning〜」という響き。狙われていたのかどうか判りませんがBeatlesの「She's Leaving Home」を思い起こしてしまいます。しかもよく出来ているのはVerseの2回目は「Wednesday At Noon〜」3回目は「Wednesday Midnight〜」と時間軸が進んでいく…
短絡的に英語のフレーズをキャッチとして使う手口を越えた情景描写、改めて頷くばかりです。

