「思い出すひと」


桜に心を揺さぶられるのは日本人特有の心情なのか?あるいは諸外国の花木に比べて日本の気候故あまりにも早世してしまうイメージが強いせいなのか、、、いずれにしても、季節を映す鏡としては最強の存在である。春の花なのに未来を感じるよりもどことなく無常観を漂わせる桜、散ってもなお何かを語りかけてくる感じが奥深いし無視出来ない。
そんな事をぼんやり思うとき、この数年どうしても思いだしてしまう言葉の騎士が居る。桜の景色として語られた物語の中でも僕にとってとても鋭い切れ味と深い悲しみを歌った歌人、岡野弘彦さんである。繊細で柔らかい言葉のなかにとんでもなく強靱な視線と意思を秘めた岡野さんのうたはゆっくりとしか読めない、そんな質量の作品群である。安易に引用することすらためらわれる言葉に、出会ってみたいと思われた方は岡野さんの歌集「バグダッド燃ゆ」をどうぞ手に取られることを。

(Photo And Text By Akira Inoue)

≪From Akira Inoue≫
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