「見つけた」


中田喜直さん作曲の「ちいさい秋みつけた」は僕にとってのスタンダードナンバーのひとつである。シンプルだけれども他に似たものがみつけられないのは、やはり作者の個性と音楽性、強いていえば構成力編集力のなせる技に違いない。昭和、そして戦後世代の僕にとって日本の音楽におけるルーツとは何だったのかを振り返ってみると、残念ながら民謡も能楽もましてや小唄や端唄も姿を現して来てはくれない。何となく懐かしく感じる唱歌や賛美歌も実はインポーテッド音楽がたくさんあって、どこまでが日本なのか?はなはだ怪しい所があるものだ。自信を持って振り返り得るのは、さて、「ひょっこりひょうたん島」とか「鉄腕アトム」とか、だろうか?そんなに最近のものしか持ち合わせがないの?と言われる向きもあるだろうけれども、考えても見て欲しい。プレスリーもビートルズもスタンダードとしての価値や体験を経ていない若い世代のみんなのことを、、、。伝える人が居なければ、知らないのも当然でしょう、、、それに比べれば学校で触れる機会の有る「ちいさい秋みつけた」の価値はとてつもなく重要だと言える。この日本製の珠玉のメロディーから一人でも多くの少年少女が音楽に目覚めてプレスリーやビートルズやドビュッシーに辿り着いて欲しいものだ。携帯ではなく、せめてCDで愛し合って。

(Photo And Text By Akira Inoue)

≪From Akira Inoue≫
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