「Paint It Black」


最近読んだ新書の中に「習熟した職人の流れるような所作を目にする時の感性は、美しい音楽を耳にするのと共通するものがある」という意の一文があった。流れるような所作に心地よさを覚えるのは同感するけれども、美しい音楽=流麗なスムーズさ、という定義は何となく全面的には頷けないと感じてしまう。流麗な音楽はもちろんあるし、その中に意味が深く込められている場合もあるけれども、浅いからこそよく流れると言うべきものも少なく無い。モーツァルトは優美・流麗の代表のように言われるけれど、彼は旧作曲を遠隔地の別の貴族に、いかにも新作の如く献呈して、しかもバレて大騒ぎになったようなしたたかな商才の人であった。彼の作品はその複雑で時には辛辣な個性の上に存在しているからこそ魅力的なので、本人に人々を癒そうという意識が果たしてあったものかどうか、はなはだ怪しい。

 

ところで、このドアのペインティング、全く習熟した職人の技とは無縁だけれど、僕の耳にはRolling Stonesの音が鮮やかに聞こえてきてしまう。確かにミック・ジャガーの所作に職人技の美を感じるかどうかは個人差があるかもしれない。
でも、流麗な音楽よりもより多くの物語がこのドアの向こうにあるように感じるのは、僕だけだろうか。
(Photo and Text By Akira Inoue)

≪From Akira Inoue≫
D.S.D TrioParachute独創會2015Arrange Island Show

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「連歌・鳥の歌2016」バルセロナ、キエフ公演速報

井上鑑がプロジェクトプロデューサーとして2013年から続けてきました「連歌・鳥の歌」プロジェクトが、今年新たな展開をいたします。
2016年4月下旬、鳥の歌の故郷であるバルセロナにある「L’auditori」と「カザルス財団」に招聘され公演を行います。