WORDS + MUSEUM = WORDIUM
WORDIUMは井上鑑のエッセイをお届けする「ことばの美術館」です。
2010年頃、故松岡正剛さん主宰のWEB媒体に「千律譜」というコラムを連載していました。芭蕉の句を手掛かりに音と言葉で綴ったコアな企画でした。
そして一昨年、音楽ライター・アーカイビストとしてユニークかつ貴重な仕事で知られる濱田髙志さん主宰のフリーペーパー「てりとりぃ」(書店、レコード店で配布されたリアル新聞です)に続編連載の機会を得ました。時を経て、芭蕉に限らず「音と言葉」を楽しみ考えるコラム連載を再開いたします。先ずは「てりとりぃ」掲載分からのスタートです。
その声はいつもAdagio
ひとびとはその言葉が開く扉の大きさを知っていた
その筆が描く景色はモノクロームのようで
実は全ての色彩を包括していた
受け取った学びの時間は
溺れるほどに芳醇で
指し示された道は
未だLong and winding
最初の一歩から最後の後ろ姿まで
紫煙と共に
思案と共に
三味と共に
詩句と共に
井上 鑑